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理想と偽装の向こう側

第9章 衝動と不安

『出会った頃は、ちょっと摘まんじゃってたりもしたけどさ、一年くらいしたら本当に全然だったよ。言い寄られては、いたけどアッサリはね除けてたから。』



「そうでしたか…。でも、私が関係してるかは、分からないです。」 



二年間の片想いが、自惚れを消し去る。



『嘉之、真剣に付き合った子もいるんだけど、遊びも含めてアイツにみんな付いていけなくて、最終的にはフラれるの。すっかり自信なくしてさ~。』



安岡さんが、笑いながら話すのは、もう過去だからだろうか。



『だから、遊びは割りきれるけど、本気は慎重になってたんだよ。』



「え…?」



『渡辺さんくらいだよ。二年間も純粋に嘉之励ましたの。端から見てても感動したよ。』



「あっ…いえ…。」



褒められてるのかな? 



ただ、嘉之に必死だっただけだし。



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