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理想と偽装の向こう側

第9章 衝動と不安

嘉之のアパートの最寄り駅に着いた。



改札を出ると、切符売り場でパーカーのポケットに手を突っ込みながら、足を軽く組んで待っていた。 



足をもて余してる姿に、キュンときてしまう。



「お待たせ!」



「結構早かったな。」



そう言って笑いかける。



《Il mio profumo》 のこともあって、いつもより更に輪をかけてドキドキしてしまう。



「その荷物は?」



「あ…着替えとか…色々…。」



明日は、仕事だからそれなりの用意をしてきた。 



「そっ。」



素っ気ないようで、私の荷物を持ってくれる顔は、笑っていた。



キュンキュンして、倒れてしまいそうだ。 



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