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部屋に入るなり、嘉之は私を抱き締めた。



「はぁ…久しぶり…。」



「うん…。」



嘉之の一つ一つが、嬉しくて愛しくて、堪らない。



軽く唇を重ねる。



「嘉之…。」
「ん？」



「好き…。」



嘉之は一瞬またキョトンしたけど、照れくさそうに笑った。



「あぁ…知ってる。」



また唇が重なり、離れる度に言う。



「大好き…。」
「うん。」



「ずっと、好き…。」
「うん…。」



「愛してる…。」



嘉之は、私をジッと見て――――深く口付けた。



その時の、今までになく穏やかな笑顔、優しく抱き締めてくれた腕に、幸せでいっぱいになった。　



こんなに満たされたのは、初めてだった。



それが、最初で最後だったような気がする…。