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理想と偽装の向こう側

第10章 信頼と疑惑

ビールが余り好きじゃない嘉之は、チューハイを飲みながら近況を話し始めた。



毎回このパターンだが、疲れもあるのか、いつもの饒舌さはない。


 
話してる横顔も、若干やつれて見える。



「トランスポートがさ、本当にいいところで、かなり自由を効かせてくれてさ。」



「へぇ~それは、凄いね!」



画商は、アーティストの作品の売買の仲介をしてくれるが、その分売れるモノを描かそうと、口出ししてくる場合もある。



色々調べてトランスポートは、画商としてはまだ浅いが、アーティストの個性を活かしてくれると、確信はあったのだ。 



私が仕事で、嘉之を推薦したことは、敢えて伏せていた。 



心強い後ろ楯はアーティストには、大事だから本当に良かった…。



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