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理想と偽装の向こう側

第10章 信頼と疑惑

重なる唇の隙間から、息をなんとか吸い込む。



「はっ…。」



また、胃がキリキリする。



かと思えば、下腹部も痛くなってきた…。



あっ…ヤバい…次に来るのは…そう思った瞬間、視界が砂嵐のように、シャットアウトしていく。



…貧血だ…。



嘉之は、気付いてないのか、更に深く激しく口付けてくる。



あ…もう…限界だ…。



その途端、意識が薄らぎ、足がガックッと曲がり、力なく嘉之の胸に倒れ込む。



「えっ?香織!」



嘉之の叫んだ声が、やたら遠くに聞こえた感覚で、私の意識は途絶えた…。




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