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理想と偽装の向こう側

第10章 信頼と疑惑

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「ん…あれ…どこ…?」



目が覚めたら、ベッドに寝ていた。



嘉之が、運んでくれたんだ。



その本人は、私を抱き締めながら隣で眠っていた。



最近、抱き枕になってる気がするよ…。



「水…。」



冷蔵庫に行こうと、ベッドから出ようとしたら、



「…香…織…起きた?」



「あっ…起こしちゃった。ごめ…。」



嘉之は両腕を伸ばして来たが、途中で止め



「水?俺、取ってくるから香織寝てな。」
「あ…うん…。」



優しいモードだったけど、泣きそうな顔してたな…。



部屋に戻って来た手には、二人分の水を持っていて、キャップを開けて渡してくれた。



「はい。」
「ありがとう…。」



コクンと一口飲んだ、喉を通る冷たさが心地いい。



「…大丈夫…?」



そう聞いてきた、嘉之が捨てられた子犬みたいな眼してる。 



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