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理想と偽装の向こう側

第10章 信頼と疑惑

妙に可愛く思えて、クスリと笑みがこぼれてしまう。


「大丈夫だよ…寝不足だったから、ちょっと貧血になっちゃって。」



嘉之は長い指を恐る恐る、私の顔に近付けて頬に触れ



「…ごめん…無理させて…。」



えぇっ!謝った!?



一瞬固まってると、



「キスして良い?」



どうしたんだろう、聞くなんて珍しい…。



「う…うん。」



嘉之は、ホッとした顔を見せて、ベッドに手を着き顔を傾け、微かに触れるくらいのキスをした…。



まるで、壊れ物を扱うかの様だった…。



少し触れて、唇を離す。



「平気…?」
「平気だよ。」



笑い返すと、クシャッと顔が崩れた。



くっ…無防備にそんな笑顔を見せないで!



結局、私は嘉之を憎めやしないんだ。



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