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理想と偽装の向こう側

第11章 亀裂

結局…

「とりあえず生中二杯と…レバーと、牛タンと…。」



次々、定番系を注文していく。



ビールが先に来たので、ジョッキを手に持ち



「お疲れ様!」
「お疲れ様…。」



カチンッ!と、音を鳴らし一口飲む…冷えてて美味しい、仕事後の一杯は尚更なんだけど…テンション高ければ。



嘉之も一口は、一気に飲んだが



「最初だけなんだよな~美味いと思うの。はい、残り宜しく!」



そう言って、ジョッキ半分残して私に渡してきた。



「えっちょっと!」
「俺、グレープフルーツ生搾りにしぃよう~。」



愉しそうに再度注文する。
何か不思議だな…今日は、また妙なテンションだな…何か企んでそうで怖い…。



以前の私なら、嘉之の一挙手一動でキュンキュンしてたのに、今はビクビクしてしまう…。



それが、ちょっと悲しいな…。



肉も運ばれ、嘉之は次々焼いては私のお皿に載せていく



「ほら、いっぱい食べろよ~。ますます痩せてるよ。」



「…うん…。」



太らせたいなら、甘いものの方が…。



優しくて、当惑するな…。



でも、ちゃんと向き合えば普段はこうなんだろうな。



嘉之も、正念場だから気が張って不安定に輪がかかったのかも…と、ポジティブシンキングになりかけたけど、元木さんの言葉が現実を叩きつける 。



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