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理想と偽装の向こう側

第11章 亀裂

そして…最後のダメ押し。



いつもの様に、休憩スペースでランチ後のコーヒーを飲んでいたら、元木さん…もう須永さんが現れた。



「渡辺さ~ん!ここいいですか?」



「あ~いいよ。お帰り!新婚旅行どうだった?何処に行ったんだっけ?」



「オーストラリアです!楽しかったです~。これお土産です!あっ、余り買ってきてないので、内緒でお願いします~。」



カンガルーのマスコットだった。



「可愛い…ありがとう。でも、プロジェクトがきっかけだったのに、余り公表しなかったんだね。」



「はい…須永さんが…そうして欲しいって~。だから、プロジェクト関係者も余り呼べなくて~上司しか招待出来なかったんです~。」



「…そ、なんだ…。」



プロジェクト関係者…嘉之が外したの…。



どこまでも『部外者』…。



「じゃ!失礼しまぁす!」



カツカツカツ…と、ヒールの音が遠のいていった。


******


そして私は、橋の上で叫んだ



「ばっかヤロ―――――!!」



私たちは…何処から狂ったのか…。
何で出会ったのか…。



ねぇ…誰か教えて…。





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