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理想と偽装の向こう側

第12章 板ばさみ

私がキョロキョロしていると店員さんが話しかけてきた。



「いらっしゃいませ。何か気になるのございますか?」



「あっ…あの実は、探してるお香かありまして。」



「名前とか種類などお分かりになりますか?」



…どうしよう…分からないし、ハンカチは乾いてはいるけど、私が泣いた時に使ったヤツだし…でも…。



「スミマセン…匂い残ってるか分からないんですが…。この香りなんですけど~。」



ダメ元で意を決して、ハンカチを出す。
店員のお姉さん、ご免なさい!!



「失礼しますね…。」



そう言って店員さんは、ハンカチに鼻を近付けた。



待ってる間、妙ドキドキした…。



「あぁ…これ、杉ですね!」



「杉!?」


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