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理想と偽装の向こう側

第12章 板ばさみ

「はい。特殊なお香じゃないですよ。一応、置いてますが…。」



そう言って、店の奥の方から持ってきてくれた。



あっ…これだ!



「普通のお店でも取り扱ってます。杉が一番スタンダードですね。お盆やお彼岸時期は、出回るんじゃないですかね。」



妙に懐かしい気がした…。
お祖母ちゃんの家に行った時に、嗅いだからだ。



それは、普通のお線香だった…。



ん?でも、このお線香の匂いが小田切さんから、したんだよね…。


 
あれ…何か忘れかけてる…あの時、他に何かあったような…。



まあ、実家に行けばお線香の一本くらい上げるよね。
じゃあ、実家に行ったのかな?



…パチンッ!



と、私の中で、ジグソーパズルのピースがハマっていくように、音がした…。



なんだろう…このパズルが出来上がったときに、開けてはイケない扉に触れる気がした…。




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