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理想と偽装の向こう側

第12章 板ばさみ

残った餃子をお摘みに、ビールを何本か空けながら、


「香織ん、DVD観ない?」



「あっ、観たい!何借りて来たの?」



「サスペンス!香織ん、好きでしょ!」



DVDのジャケットを持ちながら、めっちゃ笑顔の小田切さんが、妙に可愛かった。
くっ…鼻血出そうだ!



DVDをセットして、ソファーに寄り掛かろうとしたら、



「香織ん、こっちこっち!」
「えっ…。」



小田切さんは自分の前を指差し、前回ホラーの時と同じだった。



「小田切さん、多分これ怖くないですよ。」



推理がメインな内容だから、残虐なシーンやスプラッタとかは、ないはず。



「ダメ?もう、首締めないから。」



そんなことを小田切さんは、上目遣いで言ってきた。



はうっ!!反則!



「では…。」



私は吸い寄せられる様に、小田切さんの脚の間に納まった。



またもこんな展開になるとは…緊張の余り膝を抱えこんでたら



「香織ん、それだと疲れない?寄っ掛かりなよ。」



はい?何とおっしゃりましたか?



「どこに…?」



「ははっ!俺にでしょ!」



そう言うや後ろに引き寄せられ、私の背中は小田切さんの胸を背凭れにする状態になった。



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