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理想と偽装の向こう側

第12章 板ばさみ

日曜日

「じゃあ、用事終わったら連絡するね!」



「了解~!駅前で待ち合わせしよ!いってらっしゃ~い!」



今日も素敵な小田切スマイルで、見送ってくれる。



「…いってきます!」



私もありったけの笑顔で、待ち合わせの自分のアパートに向かった。



今日こそ、嘉之としっかり向き合うんだ!!



一旦アパートに戻り、11時少し前に下に降りる、我ながら下らない偽装工作だな…。



外に出ると、ニュービートルがアパート前に停まっていた。



「よっ!」
「おはよう…。」



正に決戦日!
嘉之ペースに成らないよう、何度もイメトレまでしたんだ!



だけど…助手席に座った途端、



「久々だから、俺ん家でもいい。」



と言い放たれた。



はぁ!他に行くとこないんかいっ!
マンションなんか行ったら、鳥籠の中の鳥か、牢獄だ!



「あのさ!郊外にアウトレットモールが出来たんだよ!なんか役立つモノとかあるかもよ!せっかくだからドライブがてらに行こうよ!」



選択権を与えたらおしまいだ!



ドキドキしながら返事を待つ…。



「ふ~ん…アウトレットね…。行ってみたことないから、少し回ってみるか。」



よっしゃ~!第一段階クリア!



私は、心の中でガッツボーズした。



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