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理想と偽装の向こう側

第12章 板ばさみ

アウトレットモールに着いたら、ちょうど12時頃になったので、お昼を食べることにした。



思えば、二人きりで外食したことあったっけ?
何かと言えば、嘉之の家だったような…今更、不思議な感じだ。



ランチを食べながら、嘉之はイタリア生活の説明が始まった。



「因みになんで、イタリアなの?」



「パスタ旨そうじゃねぇ?」



「そんな理由!?」



「…香織、イタリア語勉強してたし、いいじゃん!トランスの取引先があるんだよ。だから住まいも間借り出来るしさ。」



「あっ取引先か…。なら分かるわ。」



嘉之は、何か言いたげな顔しながら、パンフレットとかも出してきた。 



何か本当に行くんだ…。
旅行くらいならな…私はどこか他人事だ。



「…でさ…か…香織!」
「はっ!何っ?」



ボウッとしてしまってた。
前ならこんなこと無かったのに…。 



「…聞いてる?今度俺が行くときに、香織も下見がてらに一週間くらい行ってみないか。」
「…はい?」



「ツアーじゃなきゃ、航空チケットも安く押さえられるしさ。」



ドンドン話を進めてる…このままだと、拉致は実行されてしまう! 



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