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理想と偽装の向こう側

第12章 板ばさみ

言わないと…。



イタリアに行く気もないし…今後、こうゆう風に会うこともないと…。



「嘉之…あのさ…。」
「香織、アッピア街道とか、ポンペイ行きたい言ってただろ。あとさ、アルベロベッロとかも見とけば~。」



「……うん…。」



私の意気地無しっ!!



それから、散々これからの計画を聞かされてしまった…。



イメトレは、所詮イメージで終わった…。



一通り話が済んだ雰囲気になり



「じゃあ…もう帰ろうか…。」



席を立つと、



「店、回らないの?」



嘉之はアウトレットモールを回る気でいたようだ。 



「えっ!見るの?」
「見たかったんだろ。」



はっ!そうだ…ここは話を合わせとかないと偽装工作がバレてしまう!



「うん!ちょっと見ていいかな!」



「いいけど…ほら!」



そう言って嘉之が、私の手を握ってきた。



「へっ?手…。」



「いいから、行くぞ。」



アウトレットモールを嘉之と手を繋いで歩いている…これでは明らかにデートになってしまう!


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