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小田切さんと来たのは、駅の近くにある、お好み焼き屋さんだった。



前から知ってたけど、入るのは初めてだった。



「家でやってもいいんだけどさ、煙り立つし、鉄板の火力が違うからさ～。」



小田切さんが、具を混ぜながらお好み焼き談義をする。



「具も結構用意するでしょ。お店の方が、色々楽しめるしね。」



鉄板に掌を近付けて、温度を確かめる。



「私は、こっち焼きますか？」



イカゲソやウィンナーとか、単品も頼んだ。



「宜しく～！」　



小田切さんは、混ぜた具を鉄板に引いた。



「出張で大阪に行って、食べた時さ～店員さんが焼いてくれたんだけど、客には一切触らせなくて、焼き上がるまで、凝視してたんだよね。」



「そうなんだ。自分で焼いた方が楽しそうだけど。」



「そう思ったんだけど、自分でやると早く焼こうとして、ヘラで押しちゃうじゃん。あれが良くないみたいで、ひたすらじっくり焼き上がるの待つんだよね。」



「へぇ～。」　



小田切さんは、同じように再現しながら焼いていた。
本当にじっくり焼き上げるから、その間単品を摘まみにビールを飲む。



ジョッキ片手に、小田切さんは真剣にお好み焼きをひっくり返すタイミングを見計らっている。　



さっきのことなんて、何も無かったかのようだよね…。