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理想と偽装の向こう側

第13章 対決

小田切さんは、黙って聞いていてくれたけど、最後の方は少し険しい顔した。



「で…起きたら…マーキングされてたんです…。」



そんなことまで、説明してる自分が、情けない。



「凄い…執着心だな。香織んは、どうしたいの?大好きだったんだろ?嫌いで離れた訳じゃないし。」



ズキンッ!
小田切さんの口から私が、嘉之のこと『大好き』と言われるのは、辛いな…。



「別れます…。」
「えっ!話し合わないの?」



私は鉄板のお好み焼きを見詰めながら、自分の服をギュッ握り



「話し合いはしたいけど…。
でも、嘉之は私じゃなくてもいいのは、痛いほど確信しちゃうんです。」



「…そうかな…。香織んだから、ここまでするんじゃないの。」



ズキズキ…うっ…痛い…。



「話し合いが出来なくても、あっちは来年イタリアに行くから、自然消滅です。」



選択肢の一つとして、それもあり得るかな。
逃げ切ればの話しだけど…なんか自分がサスペンス劇場だな…。



「着いて行かないの?」



「行きません!」



思わず力いっぱい断言してしまった。



小田切さんは、一瞬目を見開いたが、直ぐにいつもの穏やかな笑顔で



「そっか…じゃあ、まだ香織んと一緒にいられるんだね。良かった…。」



そう言って、ビールを飲み干す。



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