テキストサイズ

理想と偽装の向こう側

第13章 対決

◎ ◎ ◎ ◎

「冷たいもんだったら、直ぐ出せるけど?」



マンションに着いて、嘉之が冷蔵庫を開けながら聞いてきた。



「うん…大丈夫。」



カランと氷がグラスと響き合う。



バクバクする…今日こそ、不透明な上下関係を終わらせるんだ…。



ズタボロにされても、私は小田切さんの元に絶対に帰るんだ!



「はい…お茶だけど。」
「あ、ありがとう!」



グラスを両手で持って、一口飲み込む…。
き、緊張する…。



先ずは他愛ない話からしといた方が、いいかな…。
最近どう?…は、明らかにおかしいし…。



私が作戦を立てていると、



「似合うじゃん。」
「え?何が?」



嘉之はクスッて笑って、私の左手の薬指を親指で、撫でるように触れ



「指輪だよ。香織がこうゆうの着けてるの見たことなかったな。」



「そっだっけ…。」



気付いてたんだ…。
嫌いじゃないけど、邪魔な感じで着けてなかった。



「買ってやることもなかったしな…。どこかに連れてってやれることもだな…。ははっ!これからは、アチコチ行ってみような。」



嘉之はそう言って、凄い優しく微笑んだ。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ