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理想と偽装の向こう側

第13章 対決

駐車場に行くと、嘉之があからさまに不機嫌に待っていた。 



「乗って!」



うっ…乗ったら確実に拉致監禁だ…。



「でも…。」



「いつまでもここに駐車しておけないんだけど。」



確かに…でも…。



躊躇してる私に、嘉之は



「…どこ行きたいの?とりあえず、動こうぜ。」
「あっ…うん。」



ちょっと驚いた…。
前だったら、怒鳴られてたと思うのに。



どこで話しても同じかも…急にそう思いながら、助手席に座った。



「どこにする?」



「嘉之ん家…で、いいよ…。」



「あぁ?嫌だったんじゃないの?」



「嫌って訳じゃ…。」



怖いけど、勝手が分からない場所よりは、何とかなるかもしれないし。



「ふ~ん…指輪してねぇの?」



ドキッ!よく見てるな!



「キズ…付いちゃうから。」



「ははっ!そりゃ仕方ねぇだろ。いいから、着けておけよ。」



良くないから外してるの~!



「うん…。」



もそもそと、箱から指輪を取り出し、右手にはめようとしたら



「左な!」



…本当によく見てるな…絵描きだからか!



渋々、左手に着け直した。


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