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理想と偽装の向こう側

第13章 対決

小田切スペシャルディナーは、あっさりとした和風だった。



新鮮なお刺身とか用意してくれていて、箸が進んだ。
食事が一段落したら、小田切さんが焼酎とグラスを持ってきた。



「香織ん!これ飲む?」



「あっ!『百年の孤〓』だ!飲んだことない~!てか、高いですよね…。」



「大人買い~!珍しいからゲッチュしたよ~ん!」



よ~ん!て…小田切さんのキャラって、どうやって確立されたんだろう。



「俺、ストレートで飲もっかな。香織んは?」



「う~ん…先ずは、私もストレートで。」
「流石だね!」



冷やしておいたらしいグラスに、銘酒を注ぐ。



「じゃ、再度乾杯!」
「乾杯っ!」



カチンッ!
グラスが重なる…。



ふと、嘉之のことが過った。
よく、缶で乾杯したな…。
あの後、どうしただろう…。



「香織ん…本当に、良かったの?」
「へっ!」



小田切さんが、察して問いかける。



「嘉之の本音…聞けた?」



真っ直ぐ私の眼を見詰めてくる。



「本音は…聞けてないと言うか…聞いてないです。私が一方的に気持ちブツけて…飛び出して来ちゃって…。」



「うん…。嘉之…納得してるかな?」



ズキンッ…。
嘉之の声が、耳に残ってる。



「してないかも…。」



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