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理想と偽装の向こう側

第13章 対決

絶対的な上下関係を小田切さんに見せ付ける。



「えっ…やっ…。」



嫌だ…怖いっ!
身体が自然とすくんでしまい足が動かない。



「行くぞっ!」



嘉之が、私を引っ張ろうと腕を掴もうとした時…



「行かせない……。」



その腕を小田切さんが、掴んだ。



「離してくんない?」



背丈が若干高い嘉之が、目を細めて見下ろしがちに、小田切さんを睨む。



そんな嘉之に、小田切さんは今までに見たことない顔で、睨み返した。



「君たちの6年ごと、俺は彼女を受け止めるから!彼女をそれで、縛るな!」



え…今なんて…? 



「小田切…さん…。」



嘉之の顔が、怒りで歪む。



「アンタがなんて言おうが、俺だって香織を離す気ないから。簡単に入れると思うなよ。」 



「じゃあ、何で不安にばかりさせるんだ!もっと、安心させてやれなかったのか!」



小田切さん…私の代わりに言ってくれてるんだ…。



いつの間にか、涙が頬を伝う。



「不安…。」



嘉之が唇を噛み、私を見やる。



「香織…こいつと付き合うの?だからイタリアも、行かねぇの…?」



嘉之は、全て小田切さんのせいにしようとしていた。



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