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理想と偽装の向こう側

第13章 対決

「違う…関係ない…。」



私は左右に首を振った。



「じゃあ、他に何の理由があんだよ…。」



愕然とする…。
6年間で、自分がしてきたことは、全て正当化されてしまってるんだろうか。



「理由…嘉之にとって、私は『部外者』だから…。」



「はぁ?部外者って、何だよ?意味分かんなねぇよ!」



そうだね…。
きっと一生解らないのかも…。



「嘉之は…私じゃなくても…いいんだよ…。」
「はい?」



「忠実な奴隷なら誰でもいいんだよ!」



一番詰まっていたモノを吐き出してしまった。



嘉之が傷付くと思って言えなかった言葉…。



6年間を全否定してしまう…。



案の定、嘉之は眼を見開き、固まっていた。
ようやく一言、吐いた。



「マジ…。」



「ゴメン…。もう…頑張れない…。」



涙が次から次へと、滴り落ちる。



私に、もっと根性があったら…母親のように愛してあげれたら良かったのに…。
元木さんの一件が、どうしても拭いきれなかった。



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