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理想と偽装の向こう側

第13章 対決

小田切さんが、私の肩に手を載せ促す。



「入ろう…香織ん…。」
「ひっく…ふっ…はい…。」



嘉之は、立ち尽くしたまま、俯いていた。
そんな嘉之に、小田切さんは



「彼女を傷つけたままでいいのかい?本音、言わないときっと君も後悔するよ…。」



「えっ?」



怪訝な顔して嘉之が、小田切さんを見る。



「小田切さん…?」



どうゆうつもりなんだろう?



「大事なものは…無くしてから本当の痛みに気付くからね…。いつまでも会えると思わない方がいいよ…。」



そう言った小田切さんは、たまに見せる様な、切な気な顔をしていた。



「敵に塩を送る気…余裕だな…。」



そう言ってプイッと、そっぽを向いてニュービートルに向かった。



本当に大人気ないよな…。



「嘉之…。」
「香織っ!」



名前を呼ばれると、硬直してしまう…。



「な…に…。」



「俺は…認めてねーからな…。」



そう一言残して、車に乗り込んだ。



エンジン音をけたたましく鳴らし、ニュービートルは去っていった…。



これで終わったのかな…それとも、何かが始まるのか…不安だけは消えなかった…。



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