テキストサイズ

理想と偽装の向こう側

第14章 時限爆弾

「わっ!なにっ!」
「寝ときな。」



気づけば嘉之に、抱き抱えられて運ばれている。



「えっ!いいよ!本当に大丈夫!」



「船漕いでたけど。クリーニング出来たら、起こしてやるよ。」



「でも…。」



なんか優しくて怖いな…と、思った矢先…



「俺、勝手にやるから。」



え…なんて言った…。



これから起きることを理解し、恐怖心が一気に全身を駆ける。



「や…嫌っ…。」



声が竦む。



「こないだから、お預け喰らいっぱなしだからな。今日は、やるよ…。」



目を細めて、薄く笑う。



「やめて…お願い…。」



足掻こうとしたが、酔いが回って力が入らない。



「危ない!落ちるだろ!寝てていいよ。時間はたっぷりあるから、好きにするから…。」



そして、私の額に口づけた…。



その感触に、闇に引き摺りこまれるかの様な錯覚に陥りそうだ。 



「楽しもうな…香織…。」
「あっ…!」



私は、届く訳ないのに、小田切さんの名前を心の中で叫んだ…。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ