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理想と偽装の向こう側

第15章 発動

自分のデスクに戻るが、上手く歩けない感覚に陥る…。



フラフラする。



手が震えて、冷や汗が出てきた。 



「なべちゃん…何かあった?顔色悪いよ。」



「えっ…。ははっ!お昼に食べたものが悪かったかな~。ちょっと、お手洗いに行って来るね!」



「うん!休憩してきなよ!」



「ありがとう…。」



本当に気持ち悪い…。



恐怖心で、ここまで苛まれるのか…。 



お手洗いに駆け込み、吐き気が一気に込み上げてくる。



「ゲホッ…オェ…。」



お昼を食べてから大分経っていたから、殆ど胃液しか出ない。



口をすすぎ、鏡を見る。



「いよいよ…。」



嘉之、どう出てくるんだろう…。



無意識にブレスレットを触っていた。



あの日から、欠かさず身に付けている。 



小田切さんが、側に居てくれてるような気持ちになるからだ。



その途端、また吐き気がしてきた。



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