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理想と偽装の向こう側

第15章 発動

私は壁に背中を寄りかからせながら、滑り落ち両目を手で覆い座り込んだ。



「小田切さん…。助けて……。」



叫びたくなる自分に、言い聞かせる。



落ち着かないと…落ち着け自分!



まだ、決まった訳じゃない。



ちゃんと確認しないと!



何とか自分に言い聞かせながら、壁伝いに立ち上がる。



仕事が終わるまで、何とか持ちこたえるんだと、気持ちを奮い立たせながらデスクに戻った。



「なべちゃん、マジ顔色悪いよ~。早上がったら?」



「あ…うん…。でも後少しだし、終業までは頑張るよ。」



樋口さんは、顔をしかめながら



「無理しないでね~。」



「うん。ありがとね…。」



早く調べた方がいいのは、分かる。



正直、フラフラするし気持ち悪い…。



でも、一人になるのが怖くて仕方ない。


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