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理想と偽装の向こう側

第15章 発動

両親や会社に何て説明するの?
何より嘉之が、諦めてくれるとは思えない。



ここぞとばかり、外にも内にも諸状況を塗り固めてくるだろう。



逃げたとしても、きっと追っかけてくる。



もし、逃げ切ったとしても一人で本当に育てていけるのかな…。



産んだ子を見るたびに、嘉之を思い出し…小田切さんとの別れに、苛まされ続けるんじゃないかな…。



そしたら、子どもが可哀想だ…。



「うっ…!」



そう思った途端、一気に吐き気が襲ってきた。



どうしよう…小田切さん、まだお風呂だよね。



様子を伺いつつ、急いでトイレに駆け込む。



「うっ…おぇっ……!ゲホッ!」



気管に入り、噎せる。



「ゲホッ!ゴホッ…うっ…。」



はぁ…苦しい…。



便座に手を付き、力尽きそうになる。



「はぁ…やだ…。やだよ…。」



涙が、滲み出る。


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