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理想と偽装の向こう側

第5章 トラウマ

コン…。



コーヒーカップを小田切さんの前に置いた。



「どうぞ、インスタントですが。」



「有り難う~!一仕事後だから美味い!」



些細なことでも、ひろげるな~と思いつつ、質問の回答するのは重たかった。



「…彼の作品です…。」



「彼の?そっか…そう言えば画家だったっけ?」



「画家って言うよりは、現代アートですけど、独特な世界観はありますよ。」



「そう…。あんまり絵とか分からないんだよね。ごめんね。」



「いえいえ、私も専門的には勉強してないですし…。でも、こういうのも出逢いというか、相性というか…彼の作品で部屋が明るくなったらいいなぁとか、一人でも多くの人に彼の作品を好きになって貰いたかったんですよ。」



「そう…。」



小田切さんは、コーヒーを飲みながら穏やかに話を聞いてくれていた。 

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