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理想と偽装の向こう側

第16章 懐古

周りもお構い無しに、しばらく抱き締め合っていたら水越さんが、モゾモゾし出す。



「お、小田切さん!」



「ん~なぁ~にぃ~。」



俺は、まったりモードで返事すると



「あ、あのね…渡したいモノがあって…。」



「んっ?何かな…。」



惜しむ気持ちで、身体を離すと水越さんは、バックからゴソゴソと取り出し、両手に載せて俺に差し出す。



「使わないかもしれないけど…今日の記念に、受け取って下さい。」




予想だにしなかった、彼女からのプレゼント…。



ガラスのウサギのペーパーウェイト。



対の内の片方だ…。
俺にプレゼントしてくれようと、ラッピングしてたんだ。



モノが、どうこうじゃない…彼女の気持ちが何より嬉しかった。



「…うん…正に今日の記念だね…。凄い嬉しいよ。ありがとう、大事にするから。」 



そう言うと水越さんは、嬉しそうに小さく微笑んだ。



はぁ…もう可愛い過ぎるだろ!



「じゃあ…俺からも…。水越さん目閉じて…。」



「へっ?目ですか。」



怖ずおずと、彼女は目を閉じた…。


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