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理想と偽装の向こう側

第16章 懐古

「じゃぁ…これから俺と一緒に色々思い出作っていけばいいよね。」



「えっ…。思い出?」



「そっ…1日1日が、大事な思い出になっていくよ…きっと…。」



「1日1日が…素敵ですね。」



そう言って、大きな瞳を俺に向けて、可愛らしく微笑む…。



限界だ…もうちょっと大人のつもりだったけどな…。



「ごめんね…水越さん…。」



「へ?何が…。」



俺は再度、彼女を抱き締め、すっぽり包み頭上から、囁きかける。



「好きだよ…。」



「あっ…はい…。私も…。」



水越さんが、俺の両脇の服をギュッと握る。



「ずっと…側にいて…。」



今度は耳もで呟く。



「は、はい…。」



唇を親指で軽く撫でながら



「大事にするね…。」



「ひゃ!はい…。」



お互いの唇が、触れるか触れないかの隙間から



「ずっと…愛していくから…。」



「…小田切…さ…。」



彼女が言い切る寸前で、俺は軽く唇に触れる。 



そっと…重ねるだけのキスを落とした…。


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