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理想と偽装の向こう側

第5章 トラウマ

小田切さんは、コーヒーを飲み干しカップを洗おうとした。 



「あっ!やりますよ!」



「有り難う~!ご馳走さま。俺、先に入り口に車に回しとくね。」



そう言い残し、笑顔で出て行った。



「はぁ~。」



小田切さんの見事なツッコミと切り替えぶりに慌ててしまう。


でも、当時だったらただ悩んでいたことが、話していると遠い過去の様な気もしてくる。 



消化不良を少しずつ少しずつ噛み砕いて、消化していく…そんな感覚なんだろうか…。



そしたら、いつかスッキリとするだろうか…。



嘉之の作品の山を見詰めた。



今でも頑張って欲しいと思う。



もっと世間に知ってもらいたいと思う。



幸せになって欲しいと思う。



じゃないと…私の自尊心がもたない。



そんなちっぽけなプライド…。

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