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理想と偽装の向こう側

第16章 懐古

その瞬間、水越さんはビクッと小さく震える。



その反応に煽られて、俺は何度も触れるだけのキスを唇に落とす。



水越さんは、俺の腕の辺りの服をギュッと握り、声を漏らす。



「あ…。小田…切…さん。」



彼女の声に、俺の頭を甘く溶けかかる。



「光花…。」



名前を呼ぶと、胸の奥がキュッと軋む。



唇を啄むように、繰り返し軽く食むと、



「は…あっ…。」



水越さんから、甘い声が吐かれ…グラッとなる。
俺の理性は吹き飛びそうになった。



ヤバい!と思った瞬間、顔を離した。



ドクドクと凄い勢いで、脈打つのを感じる。



「み…水越さん…大丈夫?」



「あ…はい…。」



水越さんは、夢から覚めた様に虚ろになっている。



てか…俺が大丈夫じゃないかも…。



勢い余って、押し倒し兼ねなかった…。


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