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理想と偽装の向こう側

第16章 懐古

「う~ん…追々、分かると思うから、余り気にしないでいればいいよ…。」



うん…天然素材には、自然解凍に任せよう!



「そうですか…頭がおかしいのかと思って…。」



黒い瞳をウルウルさせて、本気で悩んでる姿に、俺は目眩が起きそうで、眉間に指を当てて考える。



「えっと…それなら俺も同じだからさ…。言ったろ、水越さんに会ってから、君の事でいっぱいだって…。」




「あっ…はい。」



俺は照れてる水越さんに、顔を至近距離までに近づけて



「じゃぁ、俺たち同じ病気だね…。」



「えっ…同じ…何ですか…。治まりますかね…。」



ぷっ…どうしたら、こんな風に育つんだ?



「大丈夫…一緒に居れば治まってくるよ…。」



「一緒に…居れば…?」



「そっ…だから薬もらっていい…?」



「えっ!薬あるんですか!」



マジボケだよね?
ヤバい…面白過ぎる!



「うん…欲しいから、ちょっと眼を瞑ってて…。」



「はい!」



素直に眼を瞑る水越さんに、思わず笑みが溢れる。



ごめんね…イケナイ大人で…。



そして俺は、彼女の唇に自分の唇を重ねた。

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