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理想と偽装の向こう側

第16章 懐古

さあ…どうするかな…?



水越さんは蕩けるような瞳で、俺を見つめ



「はい…お願いします…。」



甘く懇願する。



グラリ…と、視界が歪みそうな感覚に陥る。



彼女はきっと、安心感に包まれたいだけだ…男の心の奥に潜む欲望なんて、解っちゃいない…。



あぁ…滝島、オマエの言う通りだよ。



こんな彼女を変な輩に、好き勝手させられない。



俺だって、紙一重だ…。
彼女の純真無垢さに、付け入ってしまいそうだ。



「じゃあ…もう一回ね…。」



俺は微笑みながら、そう言って顔を傾け、彼女の唇を見詰めると、水越さんは静かに眼を瞑る。



薄く可愛いらしい、桜色の唇…。
本当に食べてしまいたくなる…。



これ以上触れたら、きっと止まらなくなる…。



そして俺は、そっと頬にキスをして、彼女の耳元で囁いた。 



「続きは、また今度ね…。」


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