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理想と偽装の向こう側

第16章 懐古

待ち合わせは、俺のアパートの最寄り駅で、帰りがてらにスーパーで材料を買って帰る予定。



「光花!お待たせ!」



俺が急いで階段を駆け降りると、花屋の前にいた光花は、見上げながら



「志信さん!お帰りなさい!」



と笑顔で迎える。



瞬間、こんな毎日を過ごせたらいいのにと、心底思った。



◎ ◎ ◎ ◎

スーパーの買い物カゴを俺が持ちながら、光花はメモに書いた材料を入れていく。



「志信さん、嫌いな食べ物ある?」



「ん~だいたい大丈夫だよ!」



「本当!人参も大丈夫?」



「人参か!苦手な人は苦手だよね。俺は大丈夫だけど、光花は?」



「小さい頃は嫌いだったけど、お父さんに好き嫌いがあると大きくなれないぞ!って言われて頑張って食べたんだけど…。」



「だけど?やっぱり苦手?」



「ううん…人参はもう食べれるけど、大きくは成れなかったなぁ~って!」



ぷっ!素直過ぎる!
食べ物が原因じゃないかと思うけど!



「人参じゃ…ちょっと無理じゃない?」



「牛乳も飲んだのにな…胸小さい…あっ。」



自分で言って照れてしまっている…何てフォローすればいいんだろうか…。


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