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理想と偽装の向こう側

第16章 懐古

「手伝うよ。」



「ありがとう!」



そう言ったものの、所詮2Kのキッチンなんて、お飾り程度で二人で作業なんて出来やしなかった。



「光花…このテーブルで、野菜切ろうか。」



「あっそうだね!」



そして二人して、ちゃぶ台程度のテーブルで、正座で向かい合って材料を切り始めた。



「ザクザク…。」
「トントン…。」



黙々とひたすら材料を切っていき、切り刻まれた野菜たちが山盛りになっていく。



なんだろう…この光景は…急に笑いが込み上がり



「ぷっ!はははっ!」
「ふふ…あはっ!」



二人して思わず笑い出す。



「何!この絵面!端からみたら可笑しいよな!」



「うん!でも楽しい!」



凄い滑稽な状況が、とてつもなく楽しくて仕方がなくて、一頻り笑い合った。



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