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理想と偽装の向こう側

第16章 懐古

「光…花…。」



スッポリと胸の中に、納まる彼女を抱き締める。



「志信さん…。」



光花は俺の背中に腕を回し、Tシャツ軽く握り



「ふふ…温かい…。」



頬を胸に、押し当ててきた。



分かってる…。
光花が無邪気にしてる事…幼い頃に抱き締めてくれた優しい父親と同じ感覚なのかもしれない…。



けど、俺は父親じゃないんだよ…。



水越光花を欲しがってる…一人の男に過ぎない…。



だからごめんね…これだけじゃ、終われない。



少し腕の力を緩めまた名前を呼び掛ける



「光花…。」
「はい…。」



ニッコリ微笑み、彼女は俺を仰ぎ見る。



「好きだよ…。」



「私も…志信さん、大好き。」



俺の理性を吹き飛ばすには、十分な言葉だよ…。



そして、腕の中に包み込んだまま彼女の唇を塞いだ。


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