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理想と偽装の向こう側

第16章 懐古

「きゃっ!」
「おっと!」



驚いて目を見開く光花を俺は腕で支え切る。



「ち、力が急に抜けちゃって…。」



呆然としてる彼女の顔が、可愛くて仕方ない。



「クスッ…立てる?」



「う…うん…。」



そう言いながらも、ヨロッとよろける。



「ぷっ…掴まってて。」



「ありがとう…。」 



ありがとうか…ちょっと良心の呵責が痛むな…そう思いながらも光花をベッドに腰掛けさせた。


「大丈夫?」



顔を覗き込みながら伺うと



「うん…大丈夫だよ?」



微笑む彼女に



「じゃあ…続きね…。」
「続き?…あっ…。」



光花の疑問に、キスで返す。



頬に、瞼に、鼻先に軽く触れていく。



「志…信…さん…。」



名前を呼ばれ気持ちが煽られ、俺は彼女の首筋に顔を埋め唇を這わす。



ちょっと力を入れたら、折れてしまいそうな細い首。



加減しないと本当に壊してしまう…。



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