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理想と偽装の向こう側

第16章 懐古

「光花…無理しないで、しんどくなったら言っていいからね…。」



「へ…しんどく…?」



…何て説明すれば…。



「うん…いっぱい、いっぱいになったらかな…。」



「いっぱい…いっぱい…?」



初っぱなから、そうなっても困るけどね…。



「そっ…その時は、左手上げてね。」



歯医者みたいだな…大抵手を上げても、無視されちゃうけどね。



「良く分からないけど…そうなったら、上げてみる…。」



「うん…なるべく成らないように努力するけど…。」



「努力…?ん…。」



ごめんね…天然な反応も楽しみたいけどね…心の中で呟き、キスで口を塞ぎながら、光花のパジャマのボタンに指先を掛ける。



「大事にするね…。」



俺は、光花の耳元で囁いた。



「志信さん…大好き…。」



彼女の甘い声に誘われながら、俺は夢のような幸福感に堕ちていく…。


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