テキストサイズ

理想と偽装の向こう側

第17章 希望と絶望

「光花、どんなのが観たい?」



「う~ん…普段ドラマも観てないしな~。何が話題作なのかな?志信さんは、いつも何観るの?」



朝食を食べ終わった後、早速レンタル屋に来て、二人で物色し始める。



「俺は、アクションとかアドベンチャー系だから、女の子にはつまんないかもなぁ~。あっ…こんなのは?結構話題作だよ。」



手に取ってみたDVDを覗き込み光花は、



「これ…好きな人が病気で死んじゃって…忘れられない話だったよね…。看護師仲間が、観て泣いたって言ってた…。」



と、ちょっと寂しそうな表情になる。



「感動モノなのかもね。苦手かな?」



俺を見上げて



「うん…ハッピーエンドがいいな…。」



「そうだね…ハッピーエンドで楽しくなりそうなのがいいよね。」



「志信さんの好きな、アドベンチャーは?楽しそうだよ!」



「じゃあ、ドキドキ、ワクワクするのがあるよ!主人公たちは、子どもだけど。」



「それ、観たいな!」



結局、アドベンチャー系を借りて、アパートに戻りながら、さっきのやり取りを思い返した。



もしかしたら、お父さんの事とか思い出してしまうのかもしれないな。



仕事柄、『生死』と隣り合わせな日常だろうし…俺と一緒の時は、そこから少しでも切り離してあげたかった。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ