テキストサイズ

理想と偽装の向こう側

第17章 希望と絶望

「カラカラカラ…。」



夜、仕事帰りに病院に寄って、光花の病室に寄った。



ドアを開け、顔を覗かせると



「あっ!志信さん、来てくれたんだ。」



笑顔で迎えてくれた。



「気分は、どう?」



「う~ん…。」 



「良くない?」



俺の顔が曇ると、



「あっ!違うの!バリウム飲んだから、美味しくなかったな~って!」 



腕をわたわたさせながら、必死に説明してる光花が可愛くて、胸の奥がつねられたように痛くなる。



「クスッ…美味しくなかったんだ…。何味とかあるの?」



「一応…イチゴ味にしてもらったんだけど…初めて飲むから、ゲップしないように必死になっちゃった。患者さんの気持ち、少し分かったよ~。」



そう言って、ギュッと眼を瞑った光花の頬を指先で軽く撫でる。



「そっか…。明日も検査?」



「うん…。そんなに悪いのかな…。」



ドクンッ…。



強く鼓動が打った。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ