テキストサイズ

理想と偽装の向こう側

第5章 トラウマ

こちらの気を知ってか知らずか、小田切さんはマイペースに話し出した。



「香織ん、明日買い物行かない?」



やっとこ、カルビを飲み込めた私は、



「買い物ですか?特に用事ないから大丈夫です。」



「オッケ~い!じゃあ、明日ちょっと早起きね。」



「はぁ…分かりました。」



「だから、今日はとぐろ巻かないでね!」



「だから、巻いてまっふぐぅ…!」



反論しようと口を開いた途端、小田切さんはまたしても、サンチェに巻いた上カルビを突っ込んできた。



「ひょひゃひりひゃん!」



「ん~?何言ってんの~?」



またしても、ニヤニヤしながら、更に奥に突っ込んでくる。



「ほひょ!」



何か言おうにも、これじゃあ言葉が出なくて、モゴモゴしてしまう。



「美味いっしょ!」



ニッコリと小田切スマイルを放ちながら、離した手に付いたタレを舐めていた。



こ奴めっ!!
二度と小田切さんの前で、大口開くまい!!



との頑なではあれど、無駄な決意をしたのだった。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ