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理想と偽装の向こう側

第17章 希望と絶望

「手術もするのかな?」



「そうだね…まず、抗がん剤で様子見てからみたいだよ。」



手術するなら、全摘に近いだろう…。



「そっか~。髪の毛…抜けちゃうね…。」



ズキンッ…。
女性には辛いところだよな…。



「また、きっと生えるから…。」



こんな事しか言えないのが、情けない。



「そうだね!早く治るよう頑張らないとね!遊園地で観覧車が待ってるから!」



窓を見ながら、光花はそう言った。



「指切りしたもんな…。」



「うん!針千本は飲みたくないもんね!」



「はは…。そうだね…。」



有り得ない話をして、お互い観覧車に乗る夢にすがる。



俺は光花を抱き締めて、額にキスをした。



「また…来るからね…。」



「ありがとう…志信さん…忙しい時は無理しないでね。」



あぁ…人の心配なんてしなくていいんだよ!



「光花に会った方が、力が出るからさ…来ていいだろ?」



その言葉に光花は、小さく微笑んだ。


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