テキストサイズ

理想と偽装の向こう側

第19章 罪悪感?

「違う…ただ…小田切さんも…光花さんも…ひっく!優し過ぎて…悲しくて…。」



涙は止まらず、流れ落ちる。



二人の優しさの結果、小田切さんは光花さんの想いに、自分を責めて傷ついて…私たちの同棲に繋がった。



二人の思い出に、私が入っていける訳ない…。




何で、こんな巡り合わせがあるんだろうか…。



「香織ん…ありがとう…。」



「ふぅ…ぐす…。」



「鼻かむ。チーンしよ。」



もう…こんな時まで、この人は…本当は辛いくせに。



私は、小田切さんの首にすがり付いた。 



「香織ん…?」



あぁ…どうか、この不器用なくらい優しい人を助けて下さい…。



「光花さんは…本当に幸せだったんだよ…。小田切さんじゃなきゃ…ダメだったと思う。」



「えっ…。」



抱き締める腕に力を込める。



「だから…小田切さんに幸せを誰よりも願ったんだよ。」



あなたを独りにして、先立つ罪悪感を抱えて…。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ