テキストサイズ

理想と偽装の向こう側

第20章 さよなら

「きゃっ!」



嘉之の怒鳴りに近い声に、恐怖心が込み上げる。



歯軋りしながら、苦渋に歪む顔…今まで見たことない。



「カシャンッ!」



缶を床に、叩き付け



「俺が…どんな思いで……。」



低く吐き出す様な声。



「嘉之…。」



「はぁ…。香織…小田切を守りたい?」



「あっ…は…い。」



怖かった…でも、何より小田切さんに危害を加えさせる事は出来ない。



「ふっ…そんなに大事なの?香織、相手に尽くしちゃうからなぁ~。」



そう言って、ほくそ笑む。



何する気だろ…足がすくんでしまう。



「どうすれば…小田切さんに迷惑掛け無いでいてくれるの…?」



嘉之は眼を細めて、私をジッと見ると



「それは、香織次第だよ。」



「私…次第…。」



ゴクリ…唾を飲む。



「脱げよ…服…。」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ