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理想と偽装の向こう側

第20章 さよなら

安岡さんと、歩きながら駅まで向かう。



「俺が謝っても意味ないかもしれないけど、嘉之を渡辺さんに頼んじゃったしね。本当に悪かったよ。」



「いえ…もっと私が大人だったら、受け止められたんでしょうけど…根性足りなくてすみません…。」



下を向いた私に、



「はは…自分のせいにしないでよ!渡辺さんは、あんな嘉之に本当に良くしてくれたよ…。6年なんてギネスもんだから!半年持った試しないからね…。」



安岡さんは、苦笑しながら



「だから…変わったと思ったし…変わると思ったんだけどな…。」



ちょっと哀しそうだった。



「安岡さんは…本当に嘉之の事、親友として思ってるんですね。」



尊敬してしまう。
私なんかより長い時を共有してるんだもんな。



「ふ…腐れ縁だよ。若しくは博愛主義?」



「博愛主義!」



「捨てられた子犬とかを拾ってあげたくなる感じに近い気がする。」



肩をすくめる安岡さんが、面白くて 



「はは…分かるかも。」



「やっと、笑った!」

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