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理想と偽装の向こう側

第20章 さよなら

「えっ。」



安岡さんは、微笑みながら



「何かさ…いつの頃やら渡辺さん、嘉之の事で笑わなくなってた気がしたから。今日もマンション着いた時の表情見たらさ…あぁ、終わったなって思っちゃったんだよね。」



「安岡さん…。」



ため息を吐いて



「はぁ…ごめんね。あの場を離れるべきじゃなかった。どこかで、嘉之を信じてやりたかったんだ。俺の情が渡辺さんを最後まで、嫌な思いさせてしまった。本当に、ご免なさい!」



安岡さんの優しさに、涙が出そうだった。



「ううん…安岡さんは、最初に出会った時から、いつも味方してくれてました。今日だって戻って来てくれたじゃないですか!」



「はは…嘉之が犯罪者に成りそうな気がしてさ…。これから、励ますよ。」



「有り難うございます…。」



そうこうして、駅が見えてきた。



「あっ!もう大丈夫です。」



「そっか…渡辺さん!もしなんだけど…。」



「はい?」



何だろう?



「もし…嘉之がメチャメチャ反省して、変わったら…やり直しってありかな?」



安岡さん…本当に嘉之の事心配してくれてるんだ。



でも…。

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