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理想と偽装の向こう側

第20章 さよなら

「安岡さん…ごめんなさい…。私は、もう嘉之とは会えないです。」



胸が傷んだ…嘉之が全部、悪い訳じゃない。



何かが、どっかからズレしまった。



でも…最初からなのかもしれない。



「そう…有り難う!後は任せて!渡辺さんは、渡辺さんの人生で幸せになってね!」



「はい…頑張ります!」



安岡さんは、軽く手を上げてマンションに戻って行った。



その背中を見ながら涙が、溢れてきた。



安岡さんも…梶さんも…色んな人が支えて励ましてくれた。



けど、こんな結果になってしまった。



でも、後悔はしたくない…それこそ偽善な気がした。



今は、小田切さんを好きなんだ。



小田切さんと、歩んで行きたい。



何と言われようと、その気持ちは揺らがない。



「嘉之…バイバイ…。」



私は髪を翻し、駅に向かった。

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