
そんな想い
第3章 チャンス到来…?
「ところでさ、お前、彼女とかいないの?」
「へ?」
ワインが空になったころ、松岡さんが急にそんなことを言った。
「彼女とか…はいないですよ」
松岡さんは、つまらなそうに「へぇ」と言った。
それから、何か言いたそうな顔をしていたけれど、それきり。
仕方なく、「松岡さんこそ、どうなんです?」と聞いてみた。
「俺か? まぁボチボチだな」
「え!」
俺は素っ頓狂な声を上げた。
今までそんなそぶりは微塵もなかった。
彼女がいる?
いやいやいやいや…。
でも、冷静に考えれば、松岡さんほどの物件が空家のはずはない。
顔も悪くないし、スタイルだっていい。
仕事はできて、優しくて。
恋人としても、夫としても申し分ない人だ。
いやいやいやいや…、待て自分!
今までそんな話は出たことないし、見る限り、部屋に女の影はない。
え? じゃ、どういうこと?
