
そんな想い
第9章 夢なら醒めないで
「あのな、お前は経験あんのかもしれないけど、俺はないの。つか、男とどうこうって思ったこともないの! だから、焦んな!!」
俺は松岡さんをギュッと抱きしめ、耳元でささやいた。
「心外だな。俺は男が好きなんじゃないですよ。気づいたら松岡さんを好きになってただけなんです」
「ゲイじゃないのか?」
「結果的にゲイなんでしょうけどね。経験はないですよ」
「そ、そか…」
あからさまにホッとしていた。
それはどういう意味なんだろう?
俺の過去に嫉妬…というわけじゃないだろう。
だったら、貞操の危機を免れた安堵か?
ちょっと意地悪したくなる。
